2012年10月


改正石油備蓄法施行・石油組合の法位置づけ明確化
(10月31日付)

 枝野幸男経済産業大臣は10月30日の会見(写真)で、災害時の石油・LPガス安定供給体制の強化に向け11月1日に改正石油備蓄法を施行すると発表した。被災地の安定供給確保に向け、元売各社に供給連携計画の策定を義務付けるほか、地域における情報収集拠点として47都道府県の石油組合を明確に位置付けた。さらに、地下タンクの増強や自家発電など災害対応能力を有する中核SSの届出を義務付ける。SS・石油組合・元売・国という一連の情報収集連絡・供給体制の整備で、災害を見据えたSSサプライチェーンの強化・拡充を図る。全石連が震災を踏まえ、緊急時には国が法律に基づき安定供給を担うべきなどとして導入を提言した「緊急時石油流通円滑化法」の骨子・精神が明確に盛り込まれた。
 枝野大臣は会見で「東日本大震災の経験を踏まえて、災害時の石油の安定供給体制を強化していく」と強調。緊急時の供給体制の基盤となる「中核SSを全国に整備していく」方針を示した。
 大震災では、製油所や油槽所の被災、物流網の寸断などで被災地への石油製品供給が滞るなど、供給体制の再構築が大きな課題として浮上した。
 今回の改正はこうした経験を踏まえ、災害時の石油製品の安定供給体制の強化を図る狙いで、①海外からの石油の供給不足時に加え、災害によって国内の被災地などで石油供給が不足するときにも国家備蓄を放出ができる、②被災地での石油供給を元売会社が一致協力して行えるよう、全国10地域ごとに、共同作業体制の構築や設備の共同利用、輸送協力、経産省などとの連絡方法など、災害時対応をまとめた供給連携計画を、予め元売間で策定することを義務付け。災害時の同計画に基づく措置の実施を勧告できる、③原油に加え、ガソリン、灯・軽油、A重油の製品備蓄の強化、④自家発電設備の設置や地下タンクの大型化などにより災害対応能力を強化したSSなど、地域における中核的な給油拠点(中核SS)の経産大臣への届出を義務付ける。
 また、1日の施行に合わせて、改正法の規定に基づき、石油販売業者が組織する団体として、47都道府県石商(名称・住所)を告示。災害時の地域における情報収集・連絡拠点としての石油組合を明確に位置付ける。
 さらに、昨年末から各地の警察署や消防署などの近隣に位置することなどを原則に、青森、岩手、宮城、福島、茨城の5県で先行的に整備を進めてきた約200ヵ所のSSと、全国の高速サービスエリアSSの約200ヵ所を中核SSとして告示。今後数年かけて、全国2,000~2,500ヵ所まで拡充していく。






東京都が災害時協定で予算措置
(10月22日付)

 東京都総合防災部と東京石商(荒木敬一理事長)は2008年に締結した「大規模災害時における石油燃料の安定供給に関する協定」の実効性をより高めるため、平時から組合員SSや油槽所などに流通在庫を備蓄する準備を進めている。今年度中に新たな体制を整える計画だが、早期実現を目指しており、同石商でも災害対策委員会(本部長・荒木理事長)を設置、エネルギー供給者および災害時サポートも担うインフラ運営者としての両面から具体化策を検討中だ。
 都内では東日本大震災時、石油製品の安定供給が一部混乱し病院など重要拠点での活動に支障が生じたことから、都が予算措置を講じて石油製品を買い取り、その保管を同石商の組合員に委託する仕組みの構築を進めてきたもので、自治体が石油組合とこうした取り組みを行うのは全国で初めてと見られる。
 都は今年度予算として総額約2億8,400万円を計上。緊急通行車両向けにガソリン、軽油各244kl、災害拠点病院(70ヵ所)向けに重油1,356kl、灯油856kl、軽油62kl、合計2,762klを手当てし、同石商の組合員である約120SSと緊急時の貯蔵・物流能力が高い産業用エネルギー取扱業者10社程度の各タンクに流通在庫の保管を委託することで、近隣SSでの給油や円滑な配送をしやすくしたい考えだ。





消防庁・震災時の危険物取り扱い安全確保で論点整理
(10月22日付)

 総務省消防庁は10月16日、震災時にガソリンや灯油などの危険物を仮貯蔵・仮取扱いする際の安全確保のあり方を検討する第2回会合を開き、東日本大震災の直後からの危険物の仮貯蔵・仮取扱いなどの実態把握を目的に実施した「被災地の消防本部や石油販売業者など事業者などへアンケート調査」をもとに、震災時の仮貯蔵・仮取扱いに係る安全対策や検討課題などの論点整理を行った。
 論点整理では実態調査を踏まえ、大震災時に多く行われた仮貯蔵・仮取扱いの代表的な事例を抽出、必要な安全対策などを整理し、①ドラム缶から車両、重機に手動ポンプ・携行缶などにより給油する、②変圧器内の絶縁油などを一時的に抜き取り保管する、③SSなど危険物施設以外の場所でタンクローリーに充填または直接給油する―の3項目をあげた。
 一方、制度面に係る論点でも、①現行の消防法で10日以内と定められている仮貯蔵・仮取扱いの承認期間の延長、②緊急時の連絡、書類の作成、事務手続きなどの簡素化について、③震災時に緊急避難的に消防の承認なしで危険物の取扱いを行うことや、事後承認を認めることについての3項目が示された。
 検討会には、大震災の発災直後から、震災対応に尽力した宮城・佐藤義信理事長が参加。佐藤理事長は被災者の生死を左右した震災直後の混乱状況を振り返り、「まずは人命を守るという視点に立ち今後の対応策を検討していくべき。アンケート結果でも明らかなように、危険物を取り扱う事業者は、危険物を安全に取り扱うという認識を持って、人命を優先し対応した。こうした震災の経験をまとめて提示していくことが重要である」と訴えた。




石油協会・次世代エネルギー検討会が初会合
(10月17日付)

 全国石油協会(持田勲会長)は、次世代エネルギーに関する専門的知見の醸成とSSビジネスモデル構築を検討する「次世代エネルギーに関する検討会」(座長=持田会長)を開催した。初会合では、資源エネルギー庁とJX日鉱日石エネルギーから担当者を招き、次世代エネルギーとして注目の高い水素と燃料電池を巡る動向、これまでの研究成果と将来像について2部構成の講演を聞いた。また、燃料電池自動車(FCV)の実車を見学し、構造などについて説明を受けた。
 第1部では、エネ庁の小見山康二燃料電池推進室長が「水素・FCVに関する国の取り組み」について講演。FCVが2015年に市場投入されることに対し「期待は大変高い」とし、「市場投入前から4大都市圏を中心に100ヵ所の水素ステーションを整備していくことが、閣議決定されたグリーン成長戦略にも掲げられている。現在、検討途上にあるエネルギー基本計画の中でも水素や燃料電池への期待は衰えていない。いかなる形で取りまとめられるにしても、水素、燃料電池に対しては力の入った表現になる」と強調した。
 また、FCVは「15年を目途に日本、北米、欧州で市場が立ち上がり、急激な市場成長が見込まれている」、「25年の自立拡大期にFCV200万台程度、水素ステーション1,000ヵ所の見通しで、HVよりも早い見通しをしている」などと解説する一方、水素供給インフラ整備に向け、「現状6億円の整備コストを2億円以下へ下げる必要がある」「低コスト化に向けで規制緩和を進める必要がある」などと課題を指摘した。
 第2部ではJXエネの斎藤健一郎研究開発企画部長が「FCV普及開始に向けた水素インフラ構築への取り組み」について講演。SS併設型水素ステーションについて「車に対するあらゆる燃料を供給するSS」と説明し、「都市ガス会社などはSSを持っていない。我々の業界は水素だけでなく洗車やメンテナンスなども売れる」と、燃料供給インフラとしてのSSの優位性を強調した。
 また、FCVユーザーが走行距離当たりに支払う金額をHVと同等にするには、水素1立方メートル当たりの価格が78~98円になるとの試算を示し、「現状では1立方メートル145円だが、80円へのコストダウンは可能だ。ただし、普及初期はFCVの台数も少なく、実質の水素コストが上がってしまう」と普及初期の課題を指摘、「普及のためには初期の建設に対する補助を国にお願いしたい」との考えを示した。


水素や燃料電池の現状を聞いた初会合

FCVの実車を見学、構造説明を受けた




「石油増税反対」で11月14日に総決起大会
(10月12日付)

 全石連の関正夫会長は10月10日の石油専門紙誌との記者会見で、11月14日に憲政記念館(千代田区)で、国民や自動車ユーザーの負担軽減を目指し、石油諸税の軽減を求める『石油増税反対“総決起大会”』を開くことを明らかにした。地球温暖化対策のための税として1日から導入された石油石炭税の増税、2014年4月からの消費税増税を見据え、「これ以上の石油増税には絶対反対」、ガソリン税に対する「タックス・オン・タックスの廃止」を強く訴え、国民運動として盛り上げていくのが狙いだ。石油業界の総意としてアピールするため、石油連盟にも参加を要請している。
 河本博隆副会長・専務理事は総決起大会開催の趣旨について、「消費税増税に絡んで、財務省や環境省などは減税等を行う場合は代替財源を確保すべきとして、エネルギー課税の強化などにより、安定的な財源を確保すべきと主張している」と、石油が税収確保の標的にされていると指摘。「増税によりガソリンや軽油が値上げされれば、震災の被災地をはじめ、車に依存せざるを得ない地方の負担がさらに増える。このため、国会議員や消費者代表にも参加を要請している」と石油増税反対を業界内外に広めていく考えを示した。
 関会長は、「我々は消費者相手の商売であり、朝から晩まで気をつかい、危険物を扱う業界として日々、安全対策にも取り組まなければならない。それなのに1キロリットルあたり250円、250円、260円の増税はまさに踏んだり蹴ったり。この増税の間に、消費税増税によってタックス・オン・タックスが上がるという問題も重複する。石油増税反対という決意を示し、政府や国会議員の方々に認識いただきたい」と訴えた。
 また、1日からの石油石炭税増税について、「我々は増税に対して、一人ひとりの消費者に対応していかなければならない。これ以上の増税は勘弁してもらいたいというのが本音だ」と価格転嫁の難しさを強調。「電気やガスには転嫁の仕組みがあるのに、石油にはない。石油販売業者にだけ負担を課すのはおかしい」と、不公平な税制を強く批判した。





全石連関会長・経産副大臣らを表敬訪問
(10月12日付)

 全石連の関正夫会長、河本博隆副会長・専務理事らは10月10日、野田第3次改造内閣で、経済産業副大臣に就任した近藤洋介、松宮勲、大臣政務官に就任した岸本周平、本多平直議員を各表敬訪問した。
 近藤副大臣との懇談で関会長は、1日から導入された地球温暖化対策税について、「増税のたびに苦労させられるのは我々販売業者。その税収が環境対策の名の下に、我々の商売のマイナスになるようなところに使われたのではたまらない」と転嫁の困難さを強調するとともに、電気自動車や再生可能エネルギーの普及促進などに使われている税金の使途を問題提起。河本副会長・専務理事は11月14日に開催する『石油増税反対“総決起大会”』の趣旨と概要を説明した。
 近藤副大臣は「今年は税制改正の大事な年。車体課税がメインで走るが、この結果、石油業界にしわ寄せが来るのは本末転倒な話。そうならないようにしていきたい。税と予算を担当することになったので、しっかり取り組んでいきたい。11月14日は都合が付けば出席したい」とした。
 一方、関会長は「CO2が地球温暖化の原因なのかわからない。植物の成長を考えたらCO2はあったほうが良い。IPCCのねつ造問題を政治家をはじめ官僚の方々にもご理解いただきたい。本当にCO2が地球温暖化の原因というのなら、我々も苦労のし甲斐もあるが、それが間違いだったらこれほど虚しいことはない」と訴えた。 これに対して、近藤副大臣は「科学的根拠がわからないところがある。もし科学的根拠がないとしたら、次の世代に申し訳ないことになる」と述べた。
 このほか、岸本政務官も11月14日の総決起大会「都合がつけば出席したい」と述べた。


近藤副大臣と懇談する関会長(左)と河本副会長(右)




2011年度軽油引取税収入・1.6%増の9,300億円
(10月10日付)

 本紙がまとめた47都道府県の2011年度軽油引取税収入額は、前年度比1.6%増の9,299億円6,400万円となった。1993年12月に暫定税率(10年4月からは特例税率)が1リットルあたり32.1円に引き上げられて以来、17年ぶりに前年度の収入額を上回った10年度に続き、2年連続で上回った格好だ。景気低迷などの影響で県税収入が前年割れが続く中で、軽油引取税は都道府県の自主財源として重要性が高まっている。一方で、大幅なプラスに転じたのが、東日本大震災の被災地などに集中しているほか、4年連続で1兆円の大台を割り込んでおり、石油製品の需要減が顕在化しつつあり、軽油を取り巻く需給情勢は依然厳しい状況にある。
 11年度の軽油販売量は前年度比0.1%減の3,287万キロリットルと、2年ぶりに前年度実績を下回った。上期が9.6%減となったほか、下期はやや需要を盛り返したものの、プラスには転じず1.2%減で推移した。
 都道府県別で前年度を上回ったのは18県にとどまった。増加が最も大きかったのは、20.9%増の宮城、19.2%増の福島、11.8%増の岩手など震災被災地。このほかプラスとなったところも、震災による供給支障などの発生によって急激に需要が落ち込んだ北海道・東北・関東など東日本に集中している。
 県税収入に占める軽油引取税の割合を見ると、全国計では前年度比0.2%増の6.1%に上昇、4年連続で前年度を上回った。10%を超える増加は前年度比で1県増え18道県となり、県税収入での存在感が一層際立っている。特に、震災のダメージが続く岩手、宮城、福島では、県税収入が大幅に落ち込む中で、軽油引取税は大幅な増収となり、県財政に大きく貢献していることが明らかとなった。
 さらに、石油組合など軽油関連団体と自治体、警察などで構成する47都道府県の不正軽油対策協議会を中心とする不正軽油撲滅対策への積極的な取り組みも、軽油引取税の脱税防止や課税適正化に重要な役割を担っていると言えそうだ。





出光・18油槽所体制に集約
(10月10日付)

 出光興産は10月4日、2011年度から実施していた油槽所の統廃合が9月30日をもって完了したことを発表、10年度の25ヵ所体制から18ヵ所体制に集約し、併せて、各油槽所の災害対応能力の強化・拡充に取り組むことを明らかにした。
 9月末までに燃料油の取り扱いを停止した油槽所は、①門司(北九州市、潤滑油基地機能は継続)②稚内(北海道稚内市)③網走(北海道網走市)④荒川(東京都足立区)⑤田子の浦(静岡県富士市)⑥大阪(大阪市大正区)⑦八代(熊本県八代市)の7ヵ所。
 災害対応能力の強化に向けては、被災した北海道・東北の油槽所に加え、関東以西の太平洋岸の油槽所を中心に、防水対策、非常用発電機と衛星通信設備の設置などを進め、安定供給を維持していく体制を構築していく。





厚労省・厚年基金廃止方針説明に真意質す
(10月5日付)

 厚生労働省が財政悪化が進む厚生年金基金を、一定の経過期間終了後に廃止する方針を示したことに関する関係基金向けの説明会が2日開かれた。民主党検討チームをリードした大久保勉、蓮舫参議院議員らが主催して行ったもので、厚労省側からは辻泰弘副大臣(前)らが出席しこれまでの検討の経緯を説明した。石油販売業界からは國安教善石油業厚生年金基金協議会会長と全石連の河本博隆副会長・専務理事が出席した。
 辻副大臣は「有識者会議の報告などをもとに厚労省の特別対策本部で制度見直しの検討を重ねた結果、かつての代行メリットは時代や環境の変化とともに失われており、現在では厚生年金本体の財政や母体企業の経営に与えるリスクが顕在化しつつある」として、「代行制度についてはほかの年金制度への移行を促進し、一定の経過期間をおいて廃止すべきと決定した」と述べた。
 また、代行割れに伴う連帯債務問題や債務額の計算方法などについては「厚生年金本体への影響や企業に求められる自己責任原則、さらには企業年金を持たない年金被保険者に対する公平性などに配慮した特例解散制度の見直しを図っていく」との考え方も示した。今後、年金審議会で検討し年内を目途に成案を得て、次期通常国会への法案提出を目指す方針も明らかにした。
 國安協議会会長は「有識者会議では両論併記だったが、廃止の方針で決定したのはなぜか。また、今後、基金の主体的な判断で解散を進めることができるのか」と質問したのに対し、厚労省側は「賦課方式と積み立て方式という異質な制度の並存は、これまではよくても今後は困難と判断した」「連帯保証や債務額などの法的な詰めを行っていく必要があり、それまでは自主解散には向えないのではないか」と答えた。
 合同手交式では、阿部理事長と瀧孝町長がそれぞれ協定書に調印して交換した。瀧町長は、地中に断層帯が走る同町には今後20年間でマグニチュード7.9以上の地震が発生する確率が最大6%あり、大きな被害が想定されるとしたうえで「災害は突然やってくるもの。災害対応は行政の責務であり、協力を願いたい」と要請。阿部理事長は「3・11以降、石油製品の重要性が再認識されているところ。町の責任の一端を担わせていただけることに感謝する」と述べた。


厚労省などの説明を聞く國安協議会長、河本副会長ら(左)