2016年2月


15年度経営実態調査・依然赤字43%
(2月26日付)

 全国石油協会がまとめた2015年度石油製品販売業経営実態調査(14年度決算)によると、営業利益ベースの赤字企業割合は前年度の48.0%から43.2%に減少した(グラフ①)。ただ、赤字企業に営業利益率の低い「0円以上500万円未満」の企業を含めると構成比は69.9%と、依然として厳しい経営状況にある企業が多数存在することが浮き彫りとなった。調査は、47都道府県企業数割りで1万社を対象に実施し、回収率は25.3%(2,506社)。報告書は順次、47都道府県石商をはじめ調査協力事業者らに送られる。
 店頭販売価格は、原油価格が夏場以降値下がり局面に入ったため、レギュラーガソリンの平均は前年比2円安の1リットル当たり143.4円、ハイオクも2円安の153.7円、灯油が7.3円安の87.8円、軽油が1.9円安の122.9円となった。粗利はレギュラーが横ばいの9.7円と、3年連続で2桁を割り込んだ。ハイオクは0.2円高の10.2円、灯油が2.1円高の14.2円、軽油が1.7円高の14.6円と上振れした。
 営業利益ベースでの赤字企業の割合は43.2%と前年から4.8ポイント減少した。運営SS数別にみると、すべてで赤字企業の割合が減少し、黒字企業の割合が増加したが、1SS企業では赤字企業の割合が48%とほぼ半数に上る厳しい経営環境にあることがわかった。運営SS数が少ないほど、赤字企業割合が高くなる傾向も明らかになっている。
 総仕入れに占める系列外仕入れ比率は、レギュラーが3ポイント増の37.9%、ハイオクが1.1ポイント増の26.4%、灯油が4.1ポイント増の54.7%、軽油が4.1ポイント増の49.2%と軒並み前年を上回った。系列と系列外仕入れの平均価格差はハイオクが1円高の6.1円、レギュラーも1.3円高の6.1円。近年の価格競争の激化で浮き彫りとなってきている系列玉と業転玉の卸価格差の顕在化がその背景にあるとみられる。
 セルフとフルのSS運営形態別にみると(グラフ②)、仕入れ単価差はハイオクが0.6円安の0.9円、レギュラーが0.2円安の1.3円に縮小する一方、灯油は1円高の2.1円、軽油が0.4円高の1.6円だった。販売単価差は4油種とも拡大し、ハイオクが0.1円高の5.7円、レギュラーが0.5円高の5.9円、灯油が1.7円高の6.5円、軽油が0.3円高の4.5円となった。販売単価の格差が広がったのは、セルフは激戦地区に出店しているケースが多いため、競争激化で価格が低迷したためとみられる。
 このほか、今後のSS経営については「継続する」が2.9ポイント増の71.7%に増加したものの、「廃業を考えている」も1.3ポイント増の12.2%に増えた。廃業理由については、「燃料油販売量減少」が40.9%を占めて最も多く、次いで「粗利益減少」が34.6%、「施設の老朽化」が33.1%、「後継者の不在」が31.1%と続いた。






15年ハイオクレシオ・2年連続10%台
(2月24日付)

 資源エネルギーの資源・エネルギー統計による自動車用ガソリン販売に占める2015年のハイオクガソリンの比率(ハイオクレシオ)は10.8%と、2年連続で10%台に落ち込んだ。原油価格の急落でガソリン小売価格も値下がりが進むものの、ガソリン需要全体の盛り上がりには欠けており、燃料油における付加価値商品で、価格メリットも高まっているハイオクだが、ハイオクレシオの上振れにもつながっていないことが浮き彫りになった。
 ハイオクレシオは20年前の1995年は20.7%と2割を超えていたが、その後は景気の低迷や低燃費自動車の普及、ガソリン全体の需要減なども相まって年々低下し、この20年でほぼ半減した。
 首都圏をはじめとした販売激戦地では、最近のガソリン需要減の顕在化を背景に、ハイオクの安値拡販競争も散見される状況となっており、ハイオクの付加価値商品としての適正マージン確保が改めて大きな課題となっていきそうだ。
 15年のハイオク販売量は、前年同期に比べ0.1%減の673万1千klに落ち込んだ。7~8月、10~12月の需要期は比較的堅調に推移したものの、3月は前年が14年4月からの消費税増税を前にした駆け込み需要が発生した反動で、14.1%減に落ち込んだことが響いた。
 12月のハイオクレシオは前月比0.1ポイント減、前年同期比0.1ポイント減の10.6%に下落した。販売量は0.8%増の61万9千klに増加した。原油価格の急落で小売価格も値下がりが進んでいるが、販売回復にはつながっていないのが現状だ。
 20年前の95年と比較してみると、ハイオクの年間販売量が1,051万klに対し、レシオは20.7%と2割を超えていた。10年前の05年には年間販売量は7.5%増の1,128万klに増加したものの、レシオは4.2ポイント減の16.5%に下落していた。その後、13年は前年比5.7%減の735万5千kl、レシオは11.2%、14年が8.4%減の673万5千klまで下落した。05年からの15年まででレシオは5.7ポイント減少するなど、直近10年での減少が鮮明となっている。





消防庁・ローリー立入検査17%が不適合
(2月19日付)

 総務省消防庁は昨年11月1~30日に実施した移動タンク貯蔵所(タンクローリー)や危険物運搬車両などに対する立入検査の結果をまとめた。このうち、タンクローリーの基準不適合車両の割合は前年比1.55ポイント減の17.53%となったが、依然高い水準にあることがわかった。
 その中で、立入検査の重点項目として挙げている定期点検に係る義務違反は75件減の1,262件となったものの、消防庁では「他の項目に比べて非常に多く、憂慮される状況」と指摘。全日本トラック協会など関連団体を通じて注意喚起を行うとともに、危険物の輸送中における保安の確保を要請した。
 同検査は、①定期点検、特に漏れの点検の実施および記録簿その他備え付け書類の積載状況②電気設備および接地導線の維持管理状況③貯蔵および取扱いの基準適合状況(マンホールのふた、付属配管の弁の閉止状況など)を重点項目として、車両の常置場所や危険物の荷卸し場所、道路上などで行われた。
 今回はタンクローリー2万2,459台、危険物運搬車両574台の計2万3,033台を検査。不適合車両数は計3,996台に上り、不適合率は17.35%となった。その中で、タンクローリーの不適合率は過去5年間の検査でも17~19%台の高い水準で推移している。





四日市で不正ガソリン販売業者摘発
(2月17日付)

 三重県四日市市で昨年廃業した1SS「アリマ石油」(非組合員)がガソリンに灯油を混ぜて、10ヵ月間にわたり約180kl販売していたとして、名古屋国税局は同社と元社長を揮発油税法違反で摘発、罰金相当額と追徴課税1,100万円の計約1,500万円の処分を科した。15日までに、すでに全額が納付された模様。
 関係者によると、同SSで給油した車のエンジントラブルなどが絶えず、利用者の苦情を元に税務当局が内定捜査していたとみられる。





東燃ゼネ・発行済株式の35%を消却へ
(2月17日付)

 東燃ゼネラル石油は今月29日を予定日として、金庫株とされてきた自己株1億9,918万2千株を消却する。
 同株式は2012年におけるEMGマーケティング持分取得に伴い保有することになったもので、これまでは株主価値向上を意図した戦略的な目的に使用するとしてきたが、その必要性がなくなったためなどから、消却することを決めた。
 今回消却する株式数は、発行済株式総数(消却前)に対して35.24%の割合を占める。





トヨタ・ダイハツ工業を完全子会社化へ
(2月10日付)

 トヨタ自動車(豊田章男社長)は、子会社のダイハツ工業(三井正則社長)を8月に完全子会社とすることを発表した。これにより小型車事業の強化を図るとともに、共通の戦略のもとで、自動車開発や国内外での生産、販売など両ブランドの特色を活かした事業展開を行う。トヨタが株式交換で全株を取得することに伴い、ダイハツは7月27日に上場廃止となる。ダイハツブランドは存続する。
 ダイハツを完全子会社化にすることで、同社が培ってきた、軽自動車の商品企画や技術開発力を活かし、両ブランドの小型車開発をさらに強化。トヨタは環境、安全、安心、快適などの技術開発を進め、ダイハツはパッケージング力、コスト低減、低燃費技術に加えコンパクト化を推進する。
 豊田社長は両社の持続的成長を強調したうえで、「お互いがこだわりを捨て、任せるところは任せ、それぞれが得意分野を全力で伸ばしていく。選択と集中がグローバル競争を勝ち抜くための鍵となる」とし、三井社長は「トヨタとの連携を一層強化し、共通の戦略でさらに良いスモールカー作り取り組んでいく。小型車に関しては各国の地域ニーズに合わせたクルマ作りを進化させ、両ブランドのそれぞれの個性が際立つクルマを提供する」と意気込みを語った。

記者会見で握手を交わすトヨタの豊田社長(左)と
ダイハツの三井社長




ガソリン価格の石油諸税、57%にも
(2月10日付)

 原油価格の急落によるガソリン小売価格の値下がりで、小売価格に占める石油諸税の割合が直近で57.1%に達していることが明らかになった。資源エネルギー庁の週次小売価格調査をベースに試算したところ、2月1日時点のレギュラー全国平均113.4円のうち、ガソリン本体価格が48.7円に、ガソリン税53.8円と石油石炭税2.54円を含め、さらに消費税を上乗せしたガソリンに課せられている税金総額は64.7円に達し、5割を優に超える税金総額に石油に対する「税負担の重さ」を改めて浮き彫りにした格好だ。4月1日からは石油石炭税に課せられる地球温暖化対策税が1リットル当たり0.26円増税されることとなっているほか、来年4月からは消費税10%への引き上げを控えており、ガソリン価格が値下がりする一方で、高額な石油諸税が際立つ状況となっている。
 消費税率が8%に増税され、石油石炭税への地球温暖化対策税の2段階目の上乗せとなった(総額2.54円)2014年度以降でみると、レギュラーガソリン価格が直近最高値となった7月14日時点の169.9円では、本体価格が101円に対し、税金総額は68.9円と、税金比率は40.6%にまで低下していた。
 それ以降、原油価格の急落による仕切価格の値下がりと、需要減を背景とした全国各地での販売競争の激化によって、ガソリン価格も下落の一途をたどっていったが、それに反比例して税金比率は徐々に膨らんでいる。
 昨年11月9日には132.2円まで下落した。本体価格と税金額が66.1円で同額になった。その後もガソリン価格の値下がりに歯止めがかからず、首都圏をはじめとした激戦地では100円割れの安値も散見される状況となっており、税金比率は実に6割を超える。過当競争の激化で、低マージンで値下がりに拍車がかかる小売価格に対し、税金比率だけは膨らみ続けているのが実態だ。
 今年4月には石油石炭税への地球温暖化対策税の3度目の上乗せ(総額2.8円/L)が控えている。4月1日時点でレギュラー価格が113.4円とした場合、税金比率は57.3%に上昇する。来年4月には消費税率が10%に引き上げられる。石油諸税と消費税を実質的に徴税するSSは低マージンでの経営が常態化している一方で、ガソリンの突出した担税力だけが際立つ状況となっており、石油業界挙げての高額な石油諸税の抜本的な見直しを求める声は今後一層高まっていきそうだ。






全石連経営部会「経営相談室」設置を提案
(2月8日付)

 全石連経営部会(浜田忠博部会長)は4日に開いた会合で、厳しさが増す経営環境下で組合員の事業統廃合や事業再生など様々な相談に応えるための「経営相談室」の設置を提案する方針を決めた。
 また、大型再編によって精製・元売が2強時代に突入することから、今後の流通市場の動向や販売事業者への影響などについて意見交換。「統合を前に当該元売間でのシェア競争が激化している」として、元売の行き過ぎた量販姿勢を批判する声が相次いだほか、統合後の元売カードの乗り合いによって「手数料が安いほうに流れることを、販売業界を挙げて阻止すべき」などの声が上がった。
 新設を提案する「経営相談室」は、石油需要の減少や販売マージンの低下によってSS経営がひっ迫する中で、組合員事業者が抱える個別具体的な経営問題に応えるために設置するもの。自社株の購入・売却などを通じた事業統合や会社分割、さらには資産負債整理等の相談などをはじめ、中小企業再生支援機構や各種制度を利用した事業再生などの様々な課題について、会計士、税理士、弁護士など外部有識者と連携して問題解決にあたる方針。
 部会では「実際に様々な知恵を駆使して事業の存続に成功した事例もあり、全石連に組合員がノックしてくれるような相談室があれば事業継続に役立つのではないか」として、新設を提案する方針を確認した。
 元売2強時代の流通市場の見通しでは、「真のリーディングカンパニーが誕生するかどうかが最大課題。これ次第で仕切価格の透明化や公平化の行方が決まるのでは」と分析する意見や、「SS数がかなり絞り込まれることが予想される。業転玉も既存のルートが途絶えることはなく、量も減らないだろう」「当分の間、SS選別に向けて統合した系列内で激しい競争が行われるだろう。こうした中で不公平なことが行われないよう注視していくべきだ」などの見方も示された。
 さらに、統合する元売の系列特約店が結束して、元売に今後の取扱いに関する意見書を提出した事例なども紹介された。


元売再編で意見交換した経営部会




JPEC評価・VOC対策はORVRの方が低減効果大
(2月5日付)

 石油エネルギー技術センター(JPEC、月岡隆理事長)は、SSから排出される揮発性有機化合物(VOC)の問題を見据え、ガソリン蒸発ガス低減対策の評価結果をまとめた。日本市場車両と、蒸発ガス低減対策技術として車搭載型燃料供給時蒸気回収装置(ORVR)が搭載された米国市場車両を使い、給油時、走行時、駐車時などにおける蒸発ガスの発生状況や、給油時の蒸発ガスを回収するシステムであるStageⅡの効果についても評価した。その結果、ORVRの方がStageⅡよりも「パフロス(大気中に放出される現象)量も少なく、蒸発ガスの低減効果が大きいことを確認した」と発表した。
 ガソリン車による排出ガスには、排気管から排出されるガス(テールパイプ排出ガス)のほか、走行時、停車時、駐車時の蒸発ガス(車両蒸発ガス)がある。また、給油時にも蒸発ガスが発生する。JPECでは、各種の蒸発ガス低減対策技術の効果を明確にするとともに、技術データを蓄積することを目的に、ガソリンの蒸発ガス低減対策の評価・検討を行った。
 給油時蒸発ガスは、ORVR車に通常ノズルで給油した場合と日本市場車両にStageⅡノズルで給油した場合の蒸発ガス量を測定した結果、両方ともガス量を低減する効果があったが、ORVRの方がStageⅡによりもガス量低減効果が大きいことが明らかとなった。
 車両蒸発ガスについては、暖気放置時と終日保管時の試験でORVR車の方がいずれも日本市場車両に比べて蒸発ガス量が少なくなった。一方で、保管日数が長くなっても蒸発ガスが低いレベルで推移する車と、日数が長くなると増加する車があったことを確認した。走行時に排出されるガスについては、車両間で大きな差異はみられず、低いレベルで推移した。
 これらの試験・研究結果に基づいて、JPECでは今後、ORVRを国内で導入する場合を想定し、給油装置側における対応の必要性を把握するため、給油流速および給油ノズル外径寸法の影響について、実験・調査を進めていくとしている。
 全石連では、昨年3月に望月義夫環境大臣(当時)に「SS向けに蒸発ガス排出抑制策が義務付けられた場合、数百万~1千万円の経済的負担を要することとなる。この結果、零細企業が多い過疎地や離島のSSは存続不可能となり、石油製品の安定供給に支障をきたし、地域社会と生活者の安心・安全が脅かされる事態を招く」として、地域におけるエネルギーの“最後の砦”であるSSへの配慮を強く要請。さらに、SS側の蒸発ガス排出抑制は給油時だけに限られるため、給油時だけでなく走行時、停車時、駐車時でも蒸発ガス回収が可能な車両側の対応(ORVR方式)を訴えている。





15年内需・ガソリンは3年連続前年割れ
(2月3日付)

 ガソリンや灯油などのSS主要油種の減少が響き、2015年の石油製品内需は3年連続で前年を下回った。資源エネルギー庁が1月29日発表した石油製品需給概要(速報値)によると、内需は前年に比べ1.6%減の1億8,241万klに減少した。2億klの大台割れは7年連続で、需要の先細りが年々顕在化していることが浮き彫りになった。
 SS主要3油種の販売実績をみると、ガソリンは0.9%減の5,311万klと3年連続で前年を下回った。05年(6,162万kl)のピーク時から851万klもの需要が消失した。上期は14年4月からの消費税引き上げ前3月の駆け込み需要の反動減などが響いて、2.1%減と減少傾向で推移。下期は猛暑による需要増や原油価格の急落による小売価格の値下がりが効いて0.1%増となったが、11~12月は前年割れで推移するなど、需要回復にはほど遠い状況となっている。
 灯油は通年で7.7%減の1,588万klとなった。3年連続で2千万klの大台を割り込むとともに、96年(3,047万kl)のピーク時から5割弱もの需要が消失し、70年(1,531万kl)以来45年ぶりの低水準に落ち込んだ。
 軽油は、近年、景気回復基調による荷動きの活発化や宅配便需要の増加などが需要を支えてきたが、上期は0.7%減となったほか、下期もほぼ横ばいで推移。通年では0.4%減の3,367万klと、4年ぶりに前年を下回った。
 燃料油計は、ナフサやジェット燃料が堅調に推移したものの、ガソリンや灯油の減少に加え、電力用C重油が大幅に減少したことなどが響いた。






1月上旬原油CIF・約11年ぶり40ドル割れ
(2月1日付)

 財務省が1月28日発表した1月上旬原油CIF価格は、ドル建てが前月比5.89ドル安の1バレル当たり39.51ドルとなった。2005年1月(38.41ドル)以来、約11年ぶりに40ドル台を割り込んだ。円建ては、原油価格が下落したことに加え、為替もドル121.02円と前月比円高で推移したため、5,006円安の1kl当たり30,078円となった。





灯油配達コスト・全国平均で8.5円/L
(2月1日付)

 列島丸ごとの大寒波襲来で全国的に灯油需要が急伸しているが、今期初めから年始まで続いた暖冬による失速が響き、「もう半月早ければ良かったが、遅きに失した」(山梨)など、シーズンを通した内需の減退は避けられない情勢にある。より採算重視に徹した商法が求められるところだが、セルフの増加、人手不足というSS業界のすう勢を反映して、配達コストの上積みがじりじりと浸透していることがわかった。資源エネルギー庁の週小売市況調査(18リットル)によると、今期(11~1月25日平均)のSS店頭と配達の格差は、全国平均で152円(1リットル当たりでは8.5円)となり、消費税の増税といった要素もあるが、過去10年で初めて150円を超えた。180円(10円/L)超えも埼玉、和歌山、広島、長崎が加わって13都県となり、地場フルサービスSSの収益を下支えしている。
 灯油の配達コストは、1993年度に初めて90円(5円/L)を超え、小幅に上昇する傾向にあったが、セルフSSが広まった05年度以降に増え、特にSS収益が全般的に低迷し消費税増税となった14年度と、今年度の増加が大きくなっている。
 一般的に配達コストは、SS減少が進んだ都市部で割高、ホームタンク需要が多い寒冷地で割安になる傾向がみられるが、最近の配達コスト上昇は、宮城(9.3円/L)、福島(8.9円/L)、新潟(9.4円/L)、長野(9.1円/L)、鳥取(11.9円/L)、島根(10.3円/L)などの寒冷・降雪エリアでも進んでいる。
 「今冬はシーズンが大幅に短縮された分、より採算性を重視した結果」(長野)、「本体の大幅値下がりで(配達の)割高感を気にしないユーザーが増えた」(新潟)、「セルフが大半となり、引き売りも来ない灯油難民が増えているようだ。値段は二の次という(配達)要請が多くなっている」(埼玉)ことなどが、配達コストが転嫁しやすくなった背景にあるようだ。
 首都圏に加えて、ガソリン激戦地として知られる三重や岡山でも配達コストの転嫁が進んでいることが「配達灯油の特殊性」を示している。ただ、地域によっては「まだ、配達はサービスの一環と位置付けるところがあり、永年のお客様には転嫁しにくい環境が残っている」(秋田)など、配達コストの転嫁に踏み出せない状況もみられ、転嫁が進んだ地域との明暗が分かれている。
 転嫁不足の突破口が見出せないフルSSは、「店頭はセルフやホームセンターの下値に引っ張られるが、配達は商環境が全く異なる。当SSの燃料販売はレギュラー、配達灯油が主力で、次いで店頭灯油、軽油、ハイオクと、計5油種を扱っているという商感覚で臨んでいる」(新潟)などのように、経営感覚のリセットが必要な情勢だ。