2016年5月


骨太方針に「SS網の維持・強化」明記
(5月25日付)

 今年度の国の重点政策などを決める「骨太の方針2016」は今月末に発表される予定だが、その中に「国内の石油の安定供給確保に向けたサプライチェーンの維持・強化等の取組を進める」と明記されることが固まった。当初原案には記載されていなかったが、熊本震災での燃料供給の重要性が改めて認識されたことなどを背景に、自民党石油流通問題議員連盟の野田毅会長らが「国の方針に欠かすことはできない」として強く要請し、5月20日に行われた同党の政調全体会議で示された素案に明記された。
 「石油サプライチェーンの維持・強化」などの方針は、これまでも骨太方針に記載されてきており、国内の石油販売業界向けの支援予算確保や政策を実施するうえでの根拠ともなってきた。
 しかし今回、内閣府が作成した原案には全く記載されていないことが判明したことから全石連・油政連は急遽、石油流通問題議連の幹部議員や資源エネルギー庁の強力支援をもとに要請活動を実施した。
 特に今年4月に発生した熊本地震において緊急車両や病院などへの燃料供給が円滑に行われたこと。さらには、その背景に5年前の東日本大震災での経験をもとに、国の支援で自家発電機を備えた中核SSや小口配送拠点の整備を進めてきたことが、今回の熊本地震で活かされたこと、などを例示し、政府・与党の理解を訴えた。
 今回の原案に記載されていなかったことについて、野田会長は「熊本の被災地でSSが活躍したことを知らないのか。その直後であるのに今年、記載していないとはどういうことだ」と強調。田中和徳会長代理も「今後心配されている南海トラフ地震や首都直下型地震などに備えて燃料供給確保は必要不可欠」などと訴えた。
 20日の政調全体会議で田中良生経済産業部会長が「エネルギーの上流のみならず、サプライチェーンの維持・強化にしっかりと取組むということを盛り込んでいただいた。特に熊本地震ではSSが燃料供給拠点として大きな成果を発揮した。この点に関しても取り組みを進めると言っていただいた」とし、明記されたことを評価した。
 このほか、今村雅弘幹事長、渡辺博道事務局長、宮下一郎常任幹事、中村裕之議員、太田房江議員、岡下昌平議員らがそれぞれ党本部幹部らに働きかけた。

※追記:「骨太の方針2016」は6月2日に閣議決定済み


新たな骨太方針の素案を議論した20日の自民党政調全体会議




エネ庁・優秀SS100選を発表
(5月20日付)

 資源エネルギー庁は『SS経営に関する優秀事例100選』を発表した。同100選は需要減や販売競争の激化など、厳しい経営環境下にあるSS業界で、創意工夫を凝らし先進的な経営モデルを確立したSSを全国から選定し、①顧客満足度を高める価値を提供するSS、②企業体としての競争力強化するSS、③地域の多様なニーズや社会的課題に応えるSS、④人材力・ダイバーシティ(多様性)で勝負するSS―の4分野に分類して取りまとめたもの。
 SSの選定にあたっては、全石連・47都道府県石油組合、元売・商社などの協力を得て全国から推薦を募り、外部有識者による審査を経て選んだ。
 100選には、洗車・タイヤなどの油外収益の強化や、車検・車販などのカーケアサービスの拡充などによって、収益確保・顧客の囲い込みで高い実績を上げているSSのほか、介護事業、太陽光発電、電力小売販売事業などの異業種に進出し経営多角化に取り組む事業者、複数事業者が連携して灯油の配送合理化に取り組む事例、官公需の受注拡大に向け独自システムを開発した石油組合、アジアで成長著しいミャンマーにSS進出した事業者など、様々なアイデアや工夫、新しい発想、地道な取り組みで経営革新を図っている事例を紹介している。
 また、地域に密着した経営の追及や顧客の多様なニーズを的確に捉え、優良固定客らを獲得して、生き残り・勝ち残りに成功したSS、技術力やドライブウェイサービスを高めるための人材育成に取り組む事業者、女性や高齢者など多様な人材の働きやすい職場とモチベーションを引き出し、接客サービス力によって顧客満足度を高めているSSなども紹介している。






資源・燃料分科会で石油販売業の「生き残り策」提言
(5月20日付)

 資源エネルギー庁は5月17日、総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会を開き、今後の石油中下流部門(調達・精製・流通・販売)の政策の方向性などについて論点を示した。また、石油販売業界を代表し委員として参加する全石連の河本博隆副会長・専務理事が、熊本地震における緊急石油供給について報告するとともに、災害時における燃料供給拠点機能の維持・確保に向けた『石油販売業の課題と生き残り策』について説明 した(写真左が河本副会長)。  河本副会長・専務理事は、資源エネルギー庁の補助金で配備された自家発電機を停電の中で懸命に稼働させて給油を続けた中核SSの活躍などを紹介。「熊本地震を予測した人はいなかった。今回は石油業界などの連携が上手くいったが、今後またどこで地震・ 災害が発生するかわからない。災害時に『石油はやはり重要である』ということはご承知の通り。そのためにはある程度のSSを残しておかなければならない」と強調した。そのうえで「“SS過疎地”をできる限り減らしていかなければならない」「離島におい てもSSがなくなってしまうという大きな問題を抱えている」と指摘。「そのためには地場SSを中心としたSSネットワークの維持・確保を図っていかなければならない」と訴えた。  SSの生き残り策については、①石油販売業の経営基盤の強化②元売子会社SSやJASSとの共存共栄ができる小売市場の構築(公正で透明な市場形成)③SS災害対応能力の強化④新しい課題への対応(ガソリンベーパー規制、水素・EV供給、過重な石油諸税の軽減 )の4点を挙げた。  とりわけ①については過疎地などにおける灯油配送ローリー導入支援の継続のほか、事業統合や協業化・共同化などの取り組みに対する支援を要請。また、②については公正取引委員会がまとめた『ガソリンの取引に関するフォローアップ調査』で、業転玉の 取扱制限や差別対価など値引き交渉の問題、元売販売子会社の安値販売などの問題で「相当突っ込んで書いていただいた」と述べるとともに、「公取委にはたいへん協力的に対応していただいており、公正で透明な市場形成に向けて、独禁法でなんとかできな いか取り組んでいただいている」と、独禁法による厳正な対応に期待を寄せた。さらに「何兆円もの売上規模を誇る元売会社と中小零細SSとの間では、基本的に優越的地位の問題があると認識していただいており、SSが生き残るために支援をお願いしたい」と述べた。
 石油連盟の木村康会長は、石油精製業の国際競争力強化に向けた設備の高度化・複数製油所間の連携や、非在来型原油(超重質油)を処理するための設備対応への支援措置の継続・拡充などを求めた。また、東日本大震災による原発の稼働停止に伴う電力供給力不足に対し、電力の安定供給に貢献した石油火力のバックアップ電源としての位置付けの明確化や、平時からの一定稼働の必要性を訴えた。
 このほか、エネ庁は今後の石油中下流部門の政策のうち、SSを中心とした流通・販売政策について、SSが将来の再投資を実施し中長期的に燃料の安定供給の役割を担っていくためには「収益力強化や生産性向上を通じたさらなる経営力の強化が求められる」と指摘。量販に頼るのではなく、顧客や地域のニーズに応える多角的なビジネスの展開、共同仕入れ・物流合理化などによる生産性向上の必要性を提言した。
 さらにエネ庁は、石油流通市場の課題として、「大きな業転格差」「不透明な事後調整」の問題を提起。業転格差によって販売業者間の不公平感を生み出し、事後調整によって「販売業者のコスト意識に根ざした経営改善努力を曇らせ、市場メカニズムが十分機能しない」と強調した。
 そのうえで、今後の対応の方向性として①国際需給を適切に反映した、市場参加者に信頼される卸価格指標の構築②取引慣行の透明化・適正化(事後調整の実施基準の明確化など)を提示した。
 今回示された論点を整理し、次回6月15日開催予定の同会合で中間とりまとめを行う。






共同事業・15年度表彰組合を決定
(5月18日付)

 全石連共同事業部会(根本一彌部会長)は13日、郡山市で会合を開き、2015年度の目標達成状況、決算案を報告した。
 同部会では、全5種目(中型生命、賠償責任共済、SS総合共済、給油伝票、洗車タオル)で各石協ごとに目標を設定、利用促進を図った。全種目で目標を達成した14組合(宮城、福島、秋田、山形、神奈川、富山、福井、和歌山、兵庫、広島、島根、福岡、大分、沖縄)を優秀組合、4種目達成した5組合(青森、岩手、新潟、徳島、熊本)を準優秀組合、3種目達成した11組合(長野、群馬、茨城、東京、山梨、大阪、高知、愛媛、香川、長崎、宮崎)を優良組合として、6月16日に神戸市で開催される全石連通常総会の会場で表彰することを決めた。3種目以上達成は、前年度を8組合上回る30組合となった。
 会合の中では、11年連続で全種目達成している福島の共同事業担当者から、オリジナルのダイレクトメールやこまめな電話による販促活動の説明が行われた。また、「ジャッキアップポイントハンドブック」などサービスマニュアル本(6冊)の見本を各石協に配置したことも報告した。






熊本・県知事にSS復旧支援を要請
(5月18日付)

 『熊本地震』で組合員SSが大きな被害を受けた熊本石商(三角清一理事長)は16日、蒲島郁夫熊本県知事に「被災したSSが復旧するための支援策の早期実現」を陳情した。これに対し県は「すでにSS被害の実情は国に伝えてあり、今回の陳情を受けて速やかに支援が実施されるように努力したい」と答えた。
 陳情では「今回の地震でSSは燃料の安定供給に最大限努めた。消防車など緊急車両に対して優先給油するとともに、避難所、病院、社会福祉施設の非常用発電機や電力会社の電源車の燃料を配送した」とした。  一方で、震源地の益城町、南阿蘇村などでは地下タンクや配管、防火壁の損壊など大きな被害が発生し、設備の復旧には最大で数千万円の投資が見込まれるSSもあり、零細・小規模事業者が廃業に追い込まれる懸念がある。こうした事態になれば被災者や避難者の生活維持、復旧作業の燃料供給に支障が出るとして、「被災SSの早期復旧に関する支援制度の創設を国に要望してほしい」と陳情した。
 三角理事長は「地震発生直後にはSSに長い行列ができるなど一時は混乱したが、多くのSSが被害を受ける中で緊急自動車や病院などの要請に懸命に対応した。復旧には多額の費用と長い時間がかかる。燃料供給ネットワークを維持するためにも支援をお願いしたい」と強調した。
 これに対して蒲島知事らは、「SSへの支援についてはすでに国が検討している。今回の災害に対するSSの取り組みはよく承知しており、県としてもできるだけ対応する」と前向きな姿勢を示した。


蒲島知事(右)にSSの被害の実情と支援策を訴える三角理事長(熊本県庁で)




系列SS数2万4707ヵ所に減少
(5月16日付)

 2015年度末(16年3月末)の元売系列SS数は、前年比で568ヵ所減、2.2%減の2万4,707ヵ所に縮小した。系列SS数は1996年度以降、20年連続で減少しているが、直近10年間でみると減少数、減少率いずれも最も緩やかだった。
 うち元売社有SSは1年間で59ヵ所減、1%減の6,093ヵ所。減少傾向は変わらないが、系列SS数全体と比べると減少速度が鈍い。一方、販売業者所有SSは509ヵ所減、2.7%減の1万8,614ヵ所となった。減少速度は年々低下しているが、社有SSと比較すれば速いことは明らかだ。
 系列別でみた場合、100ヵ所以上減少させたのはJXの235ヵ所減と昭シェルの124ヵ所の2社。全体が減少する中、キグナスが3ヵ所増と唯一増えた。また、経営統合の協議が進むJXと東燃ゼネの合計占有率は56%に達し、出光と昭シェルは28%にとどまる。
 一方、セルフSS数は149ヵ所増の7,771ヵ所に拡大。セルフは増加基調で推移しているが、3年ぶりに年間増加数が200ヵ所を割った。SS減・セルフ増の傾向が続く中、全体に占めるセルフ率は31.5%超に達している。
 セルフに占める社有SS数は81ヵ所増の3,981ヵ所となり、ここでも販売業者所有SSよりも社有SSの増加が目立つ。この結果、セルフに占める社有比率は51%に上昇した。
 セルフ数を系列別でみると、出光が59ヵ所増で最多となり、2倍のSS規模を持つJXの53ヵ所増を上回った。昭シェルは5ヵ所減で唯一減少させた。






J本田・東京稲城へ進出計画
(5月11日付)

 ジョイフル本田(茨城県土浦市、矢ケ﨑健一郎社長)は6日、東京都稲城市に、新規事業用地を取得したと発表した。
 購入先や取得価額については非公表だが、敷地面積は登記簿で約5万7千平方mで、オープンは東京都の環境アセスメント条例や開発許可、建築確認許可など行政手続きの関係上、2021年以降となる予定だ。同社は敷地面積で5万平方mを中型店、5~10万平方mを大型店、10万平方m以上を超大型店と区分しているが、新店舗は大型店となる模様。なお、SSを併設している千葉店は中型、富里店は大型、他は超大型となっている。
 同社によると、「まだ用地を取得した段階で、実際にSSを建設するかは未定」としている。






GW商戦・好天で数量は前年並み 熊本・大分の被災地は苦戦
(5月11日付)

 今シーズンのゴールデンウィーク(GW)商戦は、北海道で雪が降るなど、一部に悪天候に見舞われた地域もあったが、全国的には好天に恵まれ、各観光地や景勝地などでは多くの行楽客・車で賑わった。「前年並みの需要だった。需要減が進む中で、まずまずの結果ではないか」と、ガソリン需要は概ね堅調に推移した。
 ただ、長い連休期間が逆に行楽ニーズの分散化を招き、ガソリン価格の値下がりで特需を期待した量販店SSなどでは「期待外れの結果に終わった」という声もあった。一方で2度の激震に見舞われ、いまだ余震が続く、熊本・大分両県では、観光客が激減し、半分程度にまでガソリン需要が落ち込んだSSもあった。収益的には110円割れの価格が散見される地域もあり、「採算確保にはほど遠い」との厳しい声が目立った。


行楽地へ向かう車などで渋滞する国道3号(福岡)

満杯状態の東海北陸自動車道・ひるがのSA(4月30日)