2016年8月


エネ研需給見通し・16年度ガソリンは横ばい
(8月1日付)

 日本エネルギー経済研究所は、2016~17年度の短期エネルギー需給見通しをまとめた。燃料油販売は、16年度はナフサの販売減や原発の再稼動増加に伴う電力用C重油の減少などによって、前年度比2.5%減の1億7,610万klと、47年ぶりに1億8千万klを下回ると予測。また、17年度は原発の再稼動の一層の進展による電力用C重油の減少、ガソリンや灯油などの需要減が響いて1.9%減の1億7,280万klと、内需のピークだった1999年度の7割程度の水準まで落ち込むとした。
 ガソリンは、16年度は原油価格の14年夏以降の下落傾向によって、小売価格の値下がりが一定の需要を喚起するものの、HVや軽自動車、小型車など低燃費車の普及・拡大が続いていることから、前年度比横ばいの5,310万klと予測。17年度も低燃費車普及の長期トレンドの影響で、1%減の5,260万klに減少すると見込んだ。
 灯油は、16年度は冬場の気温が前年よりも低いが、電力や都市ガスへの燃料転換などにより、2%減の1,560万klに減少。17年度も燃料転換の影響などで、2.3%減の1,530万klに減少するとした。
 軽油は、16年度がトラックの輸送効率の高まりや、燃費改善の傾向は持続するものの、荷動きの活発化などから、0.2%増の3,370万klと微増。17年度もトラックの輸送効率・燃費改善が引き続き進展するものの、輸送量が増えるため、0.2%増の3,380万klと堅調な推移を見込んだ。
 需要見通し策定の前提条件となる為替レートは、16年度が105・5円/ドル、17年度が105.0/ドル円。また、原油CIF価格は17年にかけて徐々に上昇していくと想定。ただ、米中印を中心とする石油需要が緩やかに増加する一方、米国の生産量の下げ止まりや利上げ、英国のEU離脱プロセスなどが一定の価格抑制要因となり、16年度は1バレルあたり47ドル、17年度が54ドルと想定した。
 気温については、16年度の夏は前年よりも暑さが厳しいものの、それ以降は夏冬とも平年並みを予測している。






森会長が公取委杉本委員長に取組強化を要請
(8月5日付)

 全石連の森洋会長と河本博隆副会長・専務理事は2日、公正取引委員会の杉本和行委員長と中島秀夫事務総長、菅久修一取引部長と会い、石油流通市場での公正・公平な競争の実現に向けた同委員会の一層の取り組み強化を要請した。杉本委員長は石油販売業界の実状について理解を示したうえで、今年4月のフォローアップ調査について、「相当踏み込んだ報告になっている」として引き続き資源エネルギー庁と連携していく方針を示すとともに、中島事務総長も「市場競争の一層の透明性実現に努めていく。そういう意味では、元売とSS業界の協議の場(精販協議会)は貴重な機会であると考えている」と述べた。
 森会長は、大手量販業者の市場進出の実態を説明したうえで、「プレーヤーが多様化している中、我々中小販売業者はこれらの変化に対応していかなければならないが、石油は商品に特徴がなく最終的には価格だけの競争になってしまう」「その結果、大手量販業者に経営を脅かされ、廃業・撤退を余儀なくされている」と説明。
 さらに「震災でSSはいち早く立ち上がり、緊急車両や電源車などに供給を続けた。こういう役割を果たすのは地域の中小販売業者である。地域社会のために必要とされるのに、事業としては成り立たないという矛盾を抱えている」として、公取委の競争環境是正に向けた取り組みを求めた。
 これに対し中島事務総長は、「公正な取引環境を整備するうえでは、業転玉などがどこからどこに流れているかなどについて、流通証明書など元売も含めて必要な情報を得られるようになっており、一層の透明性確保に努めていく」「元売の立場もあり、SS側の立場もあるのだから、これらの関係者が集まって適切な取引環境ができるようにすることは必要。そういう意味では精販協議会は貴重な機会だ」と述べた。
 森会長は「元売再編で環境は大きく変わる。全石連としては、7割を占める小規模事業者が生き残っていくためになにができるのか、なにをしていくのかに取り組むつもりだ。公取委の支援をお願いしたい」と述べた。


公取委の杉本委員長(中央)に取引環境の公平・公正化を要請する森会長ら




長野・灯油復権へ3ヵ年計画推進
(8月5日付)

 長野石商・協(渡邉一正理事長)は7月25日の理事会で、「石油組合灯油祭り」として3ヵ年計画で灯油復権に取り組み、2015年度比で灯油販売量20%増を目指すことを確認した。同計画では「灯油は生活に最適なエネルギーです」「ノボリ旗の出ているお店が目安です」をキャッチフレーズとして掲げ、灯油暖房の経済性や安全性を強調するとともに、非組合員SSとの差別化を図る方針だ。
 期間中は組合員SSでのキャンペーンをはじめ、各種メディアへの広告掲載、一般消費者向けイベントへの出展などを行っていく。同計画の一環として、10月1日~12月20日まで「灯油でほかほかキャンペーン」を実施することとし、多くの組合員の参加を呼びかけている。
 そのほか、今年度の人材育成事業などの研修会スケジュールと共同購買事業の進捗状況を紹介し、両事業への積極的な参加を要請した。
 渡邉理事長は「全石連は新執行部がスタートし、新たに『SS経営革新』『官公需』『次世代』の3部会を新設した。当県もこれに呼応し体制を整えていく。特に、官公需に関しては今年中に適格組合の資格を取得する」としたうえで、「再投資できる環境づくりや地域社会の期待に応えられる石油販売業の構築が重要だ」と述べた。


3ヵ年計画で灯油復権に向けて積極的に取り組むことを確認した長野・理事会




官公需方針・今年度も「石油販売業者への配慮」明記
(8月8日付)

 政府は2日、「平成28年度・中小企業者に関する国等の契約の基本方針」を閣議決定した。国や地方公共団体は、災害協定を締結した石油組合とそれに参画する中小石油販売業者に対して、平時から随意契約や分離・分割発注などによって「受注機会の増大に努めるものとする」という項目を昨年(2015年8月28日閣議決定)に続き盛り込んだ。また同様に、国はこの要請の実効性を確保するため、すべての地方公共団体に基本方針を周知するとともに、中小企業庁がこの実施状況を取りまとめて公表することも明記したが、同基本方針の趣旨が国や地方自治体・関係機関の隅々まで浸透し、実際に中小石油販売業者の受注拡大につながっているのか、その公表がいまだ行われておらず、石油販売業界からは一刻も早い国による実態把握と公表を求める声が高まっている。
 11年3月に発生した東日本大震災によって、東北の被災地をはじめ、東日本各地で製油所から油槽所・SSに至るまでの石油サプライチェーンが一時寸断され、石油製品の供給支障が発生。被災地などでは、国や地方公共団体などの石油製品納入にかかる競争入札によって、落札した事業者が本来供給しなければならない石油製品を地場中小SSが供給し、被災地の復旧・復興に大きく貢献した。全石連・油政連では、こうした実績を踏まえ、官公需の平時における地元での調達や官公需受注適格組合である石油組合を通した供給体制の重要性を訴えてきた。
 そして、自民党石油流通問題議員連盟(野田毅会長)の後押しを受けて、昨年6月には宮沢洋一経済産業大臣(当時)や高市早苗総務大臣に直接要望書を手渡すなどして、地場SSや石油組合の活用を強く働かけてきた。こうした取り組みが昨年の「国の契約の基本方針」に「中小石油販売業者に対する配慮」として新たに明記された。
 具体的には①災害時だけでなく平時において、協定を締結している石油組合や参加している中小石油販売業者の受注機会の増大に努めること②その場合、円滑な燃料調達ができると認められる場合であって、経済合理性・公正性などに反しない適正な調達ができる時には極力、分離・分割して発注を行うよう努めること③さらには、当該石油組合との随意契約を行うことができることに留意する―などが明記された。
 また、この基本方針が国の一方的な要請で終わらないために、新たに「地方公共団体への協力依頼」の項目も追加された。国はすべての地方公共団体に対して、基本方針に基づく個別の契約の方針の策定を要請する一方、この要請によって講じられた措置の実施状況について、中小企業庁が取りまとめてその情報を公表することとなった。
 昨年示された基本方針は、熾烈な競争入札で利益の出ない官公需受注が増えている石油販売業界にとって画期的な成果となり、各石油組合や支部ではこの基本方針を前面に押し立てて国の出先機関や地方公共団体と交渉し、平時からの官公需の受注拡大に取り組んだ。しかし、一部の石油組合からは「国や地方自治体・関係機関の隅々にまではこの方針に対する認識が行き届いていない」「受注機会の拡大が思うように進まない」などの声も出てきている。
 今後、全石連では新たに立ち上げた官公需部会(三原英人部会長)のもと、官公需受注の実態やさらなる受注機会の拡大に向けた対応策などについて検討していく。






15年度SS平均ガソリン販売量・月間136.9kl 94年度比2倍に
(8月10日付)

 2015年度末の登録SS数3万2,333ヵ所と15年度のガソリン内需5,313万klから弾き出される1SS平均の月間ガソリン販売量は、前年度に比べ5.2kl増の136.9klに膨らんだ。14年度は1977年度以来37年ぶりに前年を下回ったが、15年度はSS数の減少が1SSあたりの平均販売量を押し上げたのに加え、ガソリン内需も前年度比0.3%増と、うるう年要因などもあって堅調に推移したことから、平均販売量が上振れした。
 15年度のガソリン内需は、前年度比0.3%増と5年ぶりに前年を上回るなど底堅い需要動向を示した。ただ、原油価格の急落による小売価格の値下がりや2月のうるう年が大きなプラス要因とはならず、これらの要因を除くと実質前年割れの状況とみられ、需要環境は依然厳しい状況が続いている。
 上期は14年4月からの消費増税の反動増で4月が6.1%増、7月、8月が猛暑などでそれぞれ5.4%増、2.1%増など堅調に推移したため、1.5%増の2,705万klに増加。ただ下期は2月が0.1%減とうるう年要因が不発に終わるなど、前年を上回ったのは10月と3月の2ヵ月だけにとどまり、1%減の2,607万klに減少した。
 平均販売量の推移をみると、SS数が6万421ヵ所でピークを迎えた94年度末の平均販売量は69.4klだったが、このピーク時と比べると、平均販売量は約2倍に膨らんだ格好。
 15年度内需はガソリン販売量がピークを迎えた04年度内需(6,148万kl)と比べると13.6%減だが、SS数がピークを迎えた94年度時点の内需(5,035万kl)との比較では5.5%増となる。一方、SS数は94年度から15年度までに46.5%減と、21年間で実に2万8,088ヵ所もの純減となるなど、全国各地で廃業・撤退が進み、各地にSS過疎地問題も浮上するなど、全国津々浦々に張り巡らされたSSサプライチェーンにほころびが目立ち始めている。
 販売量は04年度をピークにじりじりと減少しているのに対し、SSは規制緩和・自由化の進展による急激な経営環境の悪化によって、95年度から毎年1千ヵ所近く減少し続けており、94年度以降のSS数の激減が平均販売量を押し上げてきた。
 15年度は、平均販売量が140klに迫りつつあるものの、中小企業が大勢を占める石油販売業界を取り巻く経営環境は、需要減などを背景とした量販競争の激化によって、5円/リットルを下回るような低マージンでの乱売競争が各地で常態化しているほか、近年、大手流通業者の大型セルフなどの一部量販店に需要が集中する傾向も強まっており、大半のSSにとっては、平均販売量増加の実感は乏しく、個々のSSの収益拡大につながっていないのが実情だ。






精販協議会で廉売行為の是正訴え
(8月12日付)

 資源エネルギー庁・公正取引委員会参加のもと石油流通問題などについて議論する「元売とSS業界との協議の場」が5日、石油会館で開催された(写真)。全石連からは、出席した元売5社の販売・企画担当役員らに対し、PBSSなどの安値販売に追随した元売子会社や一部の系列SSなどによる廉売行為の是正を訴えたほか、販社の販売姿勢について、元売各社が通知する卸価格変動に即応した販売価格の設定など、採算販売に向けた率先垂範を強く求めた。また、災害時や過疎地の石油製品の供給拠点として不可欠なSSをこれ以上減らさないため、精販一体となって、SSの経営力強化に努めていくべきと訴えた。
 全石連の森洋会長は「全国各地で系列仕切りを下回るような廉売競争に明け暮れている。再投資可能で、持続可能なSS経営を目指すため、精販がお互いに努力すべき」と訴えた。また、災害時の安定供給確保を見据え、石油組合に未加入の地域の有力特約店に対する組合加入の徹底を要請した。
 全石連からは、価格表示のガイドラインについて、「消費者に誤認を与える価格表示は、元売ブランドの毀損につながる」「せっかく作ったガイドラインが生かされず、元の木阿弥だ」「電気を売るため、コンビニの売上げを上げるために、10円もの安い価格を表示しているSSもある」と、価格表示の適正化に向けた販社や系列特約店に系列指導の徹底を訴えた。さらに、改めて全石連と石油連盟との連名による価格表示適正化ガイドラインの作成を要請。石連の奥田真弥専務理事は、連名によるガイドラインの作成について「再度検討し、実効性が上がるようにしていきたい」と述べた。
 一方で、系列玉と業転玉の価格差から一部のPBSSや異業種SSなどがガソリンの廉売を仕掛け、周囲のSSが疲弊し廃業・撤退に追い込まれていることに対して、「このままでは櫛の歯がこぼれていくようにSSネットワークが崩れていってしまう」と採算度外視の過当競争の激化に危機感を訴え、仕入価格を下回る廉売行為の是正を強く訴えた。
 また、公取委に対しても「巨大な異業種PBSSが周辺SSに比べ10数円も安い価格で販売し、廃業せざるを得なくなっている。周辺SSを駆逐するような安売りを行っている」などと、これらの廉売行為に対して、不当廉売など独禁法による厳正な対応を強く求めた。これを受けて公取委も「不当廉売の申告があれば迅速に調査し、違反行為に対しては厳正に対処していく」と述べた。
 元売各社からは、販社や系列SSに対する販売政策や経営指導のあり方について、「販社の仕切り体系も他の系列特約店と同じ基準で行っている。販社だけを優遇していることはない」「子会社については他社より安く売って、量を確保するようなことは基本しないようにしていきたい」などと回答した。
 ガソリンべーパーなどの揮発性有機化合物(VOC)排出抑制対策については、石油業界に対し過重な負担を強いる規制がかからないよう、全石連と石油連盟が共闘して対処していくことで一致した。
 全石連の河本博隆副会長・専務理事は、「先日、森会長と公取委を訪問した際に、元売と販売業界の相互理解を進める場として、精販協議会は貴重な機会であるとおっしゃっていた。9ヵ月間休んでいたが、引き続き定期的に行い相互理解が進むようにしていきたい」と述べた。






自治体防災訓練に19組合が参加
(8月17日付)

 各自治体や自衛隊では、災害発生時に迅速対応するための合同防災訓練を実施しているが、その中に石油組合が参加するケースがさらに増えている。東日本大震災を受けて、国は中核SSを中心にした全国のSSネットワークが災害発生時に迅速対応できるよう「災害対応ソフト事業」を実施。この支援などもあって、2014年度は全国で11組合が地元自治体との合同訓練に参加したが、15年度は17組合まで増加。今年度は現在までに新たに4つの自治体から参加要請があり、計19組合となっている。4月に発生した熊本地震でのSSの活躍などを背景に、改めて石油組合との連携を重視する自治体が増えたとみられる。
 新たに合同防災訓練に参加することになったのは山形(遠藤靖彦理事長)、栃木(村上芳弘理事長)、山梨(西川一也理事長)、高知(武井勝一理事長)の4組合。
 宮城は、昨年まで2年連続で自衛隊主催の「みちのくアラート」にして参加していたが、今年度は自衛隊側の要請で日本海側の秋田、山形で行うことになったため参加していない。秋田は自衛隊ローリーによる中核SSへの配送訓練、山形では自衛隊車両による中核SSおよび小口燃料配送拠点への燃料配送訓練が行われる予定だ。
 そのほかで合同訓練を主催するのは都県がほとんどで、複数の市町村を実施場所にして広域訓練をするケースも増えている。
 今年度は、今後これから要請があるとみられるところを含めると20組合以上が合同訓練に参加する見通し。合同防災訓練において、石油を迅速かつ円滑に配送することの重要性が各自治体に強く認識され始めているといえそうだ。






福井支部・組合員「証明書」を発行
(8月19日付)

 官公需の受注増大を実現させるため、員外業者と間違われない「証明書」を福井石商・協(井田浩志理事長)が組合員に発行し、好評を得ている。
 福井県内では、地元のSS店舗数としては県内最大の企業やPBなど員外事業所が低価格販売を続ける一方、公的施設にも売り込みを強め、組合にとって悩みの種になっている。特に官公庁や学校などが集中している福井市内の競争が激しく、同石商・協の福井支部(田中敏夫支部長、田中石油社長・昭シェル系)は、昨年の閣議決定に基いて総務省が全国自治体や公的機関に宛てた「石油燃料については、災害時協定を締結する組合・中小業者から随意契約等で調達する」という趣旨の通達文書を“お墨付き”として持参。役所や公立施設に対し、組合員からの購入を働きかけてきた。
 お墨付き作戦は、燃料調達を員外業者から組合支部員に切り替えるなど一定の効果を生んだが、組合側にとって思うように進展しない公的施設もいくつかあった。その原因は、交渉にあたっている事業者が「果たして組合員かどうか」相手側が疑問を抱いていることだった。このため、お墨付きに加えて組合員に間違いないという証明を支部の全組合員に配布し、官公需受注の交渉ツールとして活用してもらうことになった。
 「証明書」はA5版大で、まず事業者の住所、社名・店名、代表者を書き、「上記販売店は福井県石油業協同組合福井支部の組合員であることを証明します」と明記して井田理事長、田中支部長名と組合印などが押されている。
 田中支部長は「組合員の証を示してほしいなどの要求は予期しなかったが、意外と多かったので交渉をスムーズに進めるためにも必要と考えた」と説明。井田理事長も「組合員の証明まで求められるケースがあると聞き、早速書面を作成した。役所だけでなく学校、保育園、養護施設など官公需対象の相手は多い。燃料受注につながるなら福井支部の結果を参考に、他支部にも発行していきたい」と話している。






自家発、ローリー等導入支援に61億円
(8月26日付)

 政府は24日、今月2日に閣議決定した経済対策の裏付けとなる2016年度第2次補正予算案を閣議決定した。このうち石油流通関係では、石油製品安定供給確保支援事業として総額61億円を計上。東日本大震災や4月の熊本地震を教訓に、今後の大規模災害の発生を見据え、自家発電機やタンクローリー、省エネ型洗車機などの導入支援を通じて、災害時における石油製品の安定供給確保に貢献する地場中小SSによる石油サプライチェーンの維持・強化を後押しする。
 具体的には、①熊本地震において、停電が発生する中で、自家発電機を備えた地場中小SSがいち早く被災住民らへの石油製品の供給を再開し、被災地の復旧・復興に貢献したことから、地場中小SSなどを対象に自家発電機の導入を定額補助(10分の10)。大規模災害の発生による停電時にもいち早く石油製品の供給を再開する『住民拠点SS』を整備する。予算額は20億円。今後4年間で全国に8千ヵ所を整備する方針を示した。
 一方、②過疎地などにおいて地場中小SSが中長期的に石油製品安定供給確保の役割を果たしていくためには、生産性向上による経営安定化が不可欠であることから、石油サプライチェーンの最前線で地域の消費者や需要家らに対して、長期的に事業を継続し、最終的な供給責任を担っていく中小石油販売業者などを対象に、大型化や共同所有などによるタンクローリーの導入、油槽所などの共同化・共同所有などに3分の2を補助(補助上限額設定)。石油製品の配送合理化の取り組みを促す。また、SSの生産性向上や経営安定化を後押しするため、省エネ型洗車機、POSシステム、樹脂製配管の導入費などの2分の1を補助(補助上限額設定)する。予算額は41億円。石油製品の安定供給基盤となるSSの廃業・撤退に歯止めをかけるのが狙いだ。






VOC問題で環境大臣に丁寧な議論を要請
(8月31日付)

 ガソリンベーパーなどの揮発性有機化合物(VOC)問題へのSS対応についての懸念が高まっている中で、全石連と石油連盟は29日、環境省を訪問し、山本公一大臣に直接、要望書を手渡し、SSなどに対するVOC排出抑制対策について、地場中小SSの経営継続意欲を削ぎ、SSの存続を危うくすることとならないよう、VOC排出抑制対策を「短期的課題」のもとに拙速に進めることをせず、科学的に産官学が合意できる丁寧な検討を行うよう、強く要請した。
 全石連からは森洋会長を筆頭に西尾恒太副会長、喜多村利秀副会長、浜田忠博副会長、宇佐美三郎副会長、出光泰典副会長、佐藤義信副会長、三原英人副会長、矢島幹也副会長、大江英毅副会長、河本博隆副会長・専務理事に加え、山本大臣の地元・愛媛県宇和島市の丸木良文愛媛石商理事(シンツ石油・専務取締役・EMG系)が参加。また、石油連盟からも奥田真弥専務理事、吉村宇一郎常務理事、三浦安史技術環境安全部長が出席した。
山本大臣に対し、全石連からは、SSを取り巻く厳しい経営状況などを説明し、理解を求めた。この中で、森会長は「(石油販売業界は)小規模事業者が多く、全石連ではなんとか(地域の燃料供給)インフラとして残ってほしいという思いで活動している。(VOC排出抑制対策を)SS側で対応するとなると、とても再投資できる状況ではなく、対応は非常に難しい」と訴えた。
 また、河本副会長・専務理事は「北海道から九州まで全国各地のSSで、心配の声が上がっている。短期的に決着されることに対して不安がある」と述べた。矢島副会長は「東京で生き残っているSSの内4割はベーパーリカバリーが技術的に対応できないノンスペース型の計量機のため、規制がかかってしまうと廃業せざるを得なくなってしまう。そうなったときに東京直下型地震や災害時の緊急車両への給油や、帰宅困難者への支援ができなくなってしまう」と、都市部SSの減少に拍車をかけ、石油製品の供給支障などに発展する危険性を訴えた。
 山本大臣は「田舎は交通機関がなく、都会以上に車社会だ。各世帯で自動車は1人1台保有している。業界の実情は昔から聞いている。石油が大事だということはよく分かっている」と述べ、「ご指摘については真摯に進めていく」「短期的という言葉だが、中環審で一時的に出してきたことは間違いないが、そうはいってもそれに縛られるものではない。まだ何も決まっていないので、慎重に扱わせてほしい」と、慎重に検討していく考えを示した。


山本環境大臣(中央(右))に要望書を手渡す森会長(中央(左))