独占禁止法関係/独禁法教室





独占禁止法は、自由経済社会において、事業者が事業活動を行うに当たって守るべきルールを定め、市場における競争秩序を維持しています。具体的には、事業者(事業者団体)が競争を制限したり、公正な競争を阻害するおそれのある行為を禁止し、事業活動の不当な拘束を排除することによって、公正で自由な競争を維持促進することを目的としています。

禁止される行為の主なものとして、①私的独占、②不当な取引制限、③不公正な取引方法の3つがあり、これらは独占禁止法の3本柱とよばれ、基本的な規制となっています。

このほか、競争制限的な市場構造が形成されるのを防止するため、合併、株式所有などの企業結合の規制や下請法による親事業者と下請事業者間の取引適正化のための規制があります。

   【私的独占】とは・・・・・・・・・・・ 有力な企業が、株式の所有や役員の派遣などによって競争事業者を統制下に置いたり(支配)、不当廉売や取引先への圧力などにより競争業者を市場から追い出し又は新規参入を妨害する(排除)な どです。
   【不当な取引制限】とは・・・・ 同業者や業界団体で、価格や生産数量などを取り決め、お互いに市場で競争しないようにすること。カルテルや入札談合がこれに該当します。
   【不公正な取引方法】とは・・ 市場の活性化のためには、事業者が互いに競争相手より良質・廉価な商品を提供しようと公正な競争を行うことが大切。このため、①自由な競争が制限されるおそれがあるような行為(取引拒絶,差別価格,不当廉売,再販売価格拘束など)、 ②競争手段そのものが公正とはいえない行為(抱き合わせ販売など)、③自由な競争の基盤を侵害するおそれがあるような行為(優越的地位の濫用など)を禁止しています。




石油販売業界が長年にわたって要望し続けた不当廉売等不公正な取引方法に対する課徴金の導入などを内容とする独占禁止法改正については、平成21年6月3日にようやく成立し、平成22年1月1日から施行されることとなりました。当業界に関連する部分は次のとおりです。

(1)新たに課徴金対象となった行為類型
 ①排除型私的独占
 ②不当廉売・差別対価等   ・10年以内に同一の違反行為で再度排除措置命令を受けた場合
   (対象品目・対象店舗は同一でなくても)
 ③優越的地位の濫用



【不当廉売について】
廉売の様態としては以下の2つがあり、このような廉売によって、「他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれ」がある場合に不当廉売に該当することとなります。
 ①「正当な理由がないのに、供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給」する場合
   (独占禁止法第2条第9項第3号該当)
 ②「不当に低い対価で供給」する場合
   (昭和57年公正取引委員会告示第15号 不公正な取引方法第6号該当)

このうち今回の法改正により、課徴金の対象になるのは、①の「正当な理由がないのに、供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給」する不当廉売の場合です(独占禁止法第20条の4)。

(2)文書提出命令の特則の導入
不公正な取引方法に係る差止請求訴訟において、文書の提出を拒む正当な理由があるとき以外は、営業秘密等を含む文書であっても、裁判所が提出を命じることができる旨の特則規定の新設



公正取引委員会では、改正独占禁止法の施行に向けて、不当廉売の要件に関する公正取引委員会の解釈をさらに明確化すること等により、法運用の透明性を一層確保し、事業者の予見可能性をより向上させるため不当廉売ガイドラインの改定を行い、平成21年12月18日公表しました。

不当廉売ガイドラインは、全業種を対象にした基本的考え方を示した「一般不当廉売ガイドライン」《別添1》と、これを基にガソリン販売業等の特定の業種について考え方を示した「業種別の不当廉売ガイドライン」があります。
ガソリンの不当廉売ガイドライン《別添2》(なお、ガイドラインの理解を進めるため、本会において目次を作成しました《別添2-1》)についての主な改定内容は、次のとおりです。
また、①の価格要件について図示すれば《別添3》のとおりです。なお、不当廉売として認定されるためには、価格要件に該当した上で、それにより周辺の事業者の事業活動を困難にさせるおそれを生じさせているという影響要件にも該当していることが必要です。

【ガソリン不当廉売ガイドライン改定のポイント】
 ① 「供給に要する費用を著しく下回る対価」についての考え方を明確化し、
・「供給に要する費用」は「総販売原価」であり
・「可変的性質をを持つ費用」を下回るものは「供給に要する費用を著しく下回る対価」である
と推定されることが明らかにされました。
また、実質的仕入価格に加え、運送費等の廉売対象商品の注文の履行に要する費用も「可変的性質を持つ費用となること及び仕入に付随する諸経費は「可変的性質を持つ費用」と推定されることが明記されました。
なお、ここでいう総販売原価は、廉売対象商品の販売に要した費用であり、複数の事業に共通する費用の配賦は、各事業が便益を受ける程度等に応じ、合理的に選択した配賦基準によって算定する旨明記されました。
【ガイドライン 第1 1(2)アを参照】

 ② 繰り返し「注意」を受けるような事業者に対する公正取引委員会の対応方針を追加し、
・事案に応じ責任者を招致した上で直接注意することが明記され、
・周辺の事業者に対する影響が大きいと考えられるもの
については、簡易迅速な処理によるのではなく、周辺の事業者の事業活動への影響についても調査を行い、厳正に対処し、排除措置命令や警告に至らない場合であっても、責任者を招致するなどした上で文書により厳重に注意す る旨明記されました。
【ガイドライン 第1 2(1), (2)を参照】

 ③ 元売が運営委託方式を用いて給油所を経営する場合の考え方についての記載を拡充し、同一商圏の系列特店への卸売価格を下回る小売価格を設定することは、独占禁止法上問題となることがあ る旨などが明記されました。
【ガイドライン 第1 1(2)エを参照】
 

 ④ 系列特約店に対する卸売価格を一方的に決定することなどにより、元売が正常な商慣習に照らして不当に、系列特約店に不利益となるように取引の条件を設定することは、優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となる旨などが明記されました。
【ガイドライン 第3を参照】



公正取引委員会では、今回の不当廉売ガイドライン改定に際して、平成21年10月9日にガイドライン改定案を公表し、11月9日を期限として関係各方面から意見を募集しました。これに対して39名から意見の提出が行われています。

寄せられた意見について、公正取引委員会では、12月18日の改定ガイドラインの公表に併せて「『不当廉売に関する独占禁止法上の考え方』改定案に対する意見の概要とこれに対する考え方」として公表しています。
公表されたもののうち、当業界に関連する主要なものを抜粋し整理すると《別添4》のとおりです。



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